2つの集合に対し、
の元
に対し
の元が1つだけ対応するときの対応を写像といます。写像を
とするとき、
に対応する
の元を
と記載し、
の
による像(image)といいます。このとき、集合
を定義域(domain)、集合
を値域(range)といいます。
を定義域
を値域とする写像
を、記号で
写像ではなく関数(function)という用語も使いますが、写像と関数はほぼ同様の意味です。ただし、関数という場合、値域が数(実数や複素数)である場合が多いですが、写像という場合は、値域は数に限らず一般的な集合の場合でも用いることが多いです。その意味で、「写像」の方が広く使われるといえます。また、関数の場合、定義域や値域が明確でない場合もありますが、写像という場合には定義域や値域を明確にする必要があります。
集合から
への写像で
を
に写すものを
の 恒等写像(identity mapping)といい、
で表します。すなわち、
また、を
から
への写像とし、
を
の部分集合とするとき、
の定義域を
に限定した写像を、
への制限写像(restriction)であるといい、このとき、
へ制限する(restrict)といい、
への制限写像を
と記載します。制限写像は定義域を限定しますが値域は変わりません。
なお、2つの写像が等しいという場合、単に
ということだけでなく、(厳密には)定義域と値域も一致している必要があります。(「厳密には」とつけたのは、文脈によって明らかな場合には値域が異なる場合でも
と記載することがあるからです。)
上の2つ例では、の恒等写像
を考えると任意の
の元
に対し
が成立していますが、値域が違いますので(通常の文脈では)
とは考えません。
また、任意のの元
に対し、
であれば
のとき、
を単射(injection)であるといいます。
が全射であり単射であるとき、全単射であるといいます。
恒等写像は常に全単射です。
全射は比較的分かりやすいと思いますが、単射は慣れるまで難しいかもしれません。しかし、どちらも大変重要な概念ですので、理解してください。単射の条件の対偶をとることにより、が単射であるための条件は、
これは「像が同じ場合は、もとの元も同じ」ことを意味しており、写像により定義域
がそのまますっぽりと
に含まれることを意味しています。
このように単射とは像が同じにはならないことを意味しています。
である場合、
は空集合となります。したがって、
は
の全ての元に対し定義できるわけではありませんので、
は写像ではありません。また、
のときは、
の全ての元に対し
が定義できますが
が一意に定まるわけではありませんのでやはり写像ではありません。
が単射である場合、
の元の個数は0(つまり
は空集合)か1です。したがって、
は
上の写像と考えることができます。
が全単射の場合、
は、
の元に対し
の元を1つ対応しますので、
から
への写像となり、かつ、
も全単射です。(これに対し、
が(全射であっても)単射ではない場合、
は、1対多数の対応関係となってしまうため写像ではありません。)
また、
が単射である場合、
は、
から
への写像(全単射)となります。
Takashi