この項では、ユークリッドの互除法により必ず最大公約数を求めることができることをしめします。
次の補題はユークリッドの互除法を使ううえで基本となるものです。
補題2.1.10は、(少なくともと
が正の整数の場合は)当然に成り立つ式です。
ここで、わざわざこの当然の式を補題としたのは、この補題が素因数分解の一意性に重要な役割を果たすからです。今後、整数の世界を拡張しますが、この式がなりたつような体系は、素因数分解の一意性が成立することが分かります。
整数の最大公約数は、ユークリッドの互除法により求められることを確かめましょう。
操作(2)により、は正と仮定しても一般性を失いませんし、操作(1)より
としても一般性を失いません。補題2.1.10より
となる
をうまくとることにより
とすると、操作(3)より
とできます。このように
と変形することができました。
ですのでより小さな数の最大公約数に帰着することができます。
に対し、操作(1)、(3)を繰り返すことにより、より小さい数の最大公約数に帰着できますので、いつか一方が0になります。すると操作(4)より、0でない数が最大公約数と分かります。
以上より、次の定理が示されます。
3つ以上の整数の最大公約数も同様の方法で必ず求めることができます。
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
このように、ユークリッドの互除法は大きな数の最大公約数を求めることができる点で実用的です。しかも、ユークリッドの互除法が重要なのはそれだけではありません。次講では理論的な観点からも重要であることが分かります。
Takashi