2.3.4 オイラー関数

1から$ n$までの自然数のうち$ n$と互いに素なもの個数を$ \phi (n)$で表しオイラー関数(Euler function)といいます。本項ではオイラー関数の性質を見ていきましょう。

2.3.11

以上をまとめると、

表 2.4: オイラー関数$ \phi (n)$
\begin{table}\begin{center}
\begin{tabularx}{100mm}{\vert c\vert\vert C\vert C\...
...& 2 & 6 & 4 & 6 & 4 & 10 & 4 \hline
\end{tabularx}
\end{center} \end{table}


この表から素数$ p$のとき $ \phi(p)=p-1$になっていること、$ n,m$が互いにそのとき $ \phi(nm)=\phi(n)\phi(m)$となっていることなどが分かります。
次の定理により$ \phi (n)$は求めることができます。

定理 2.3.12
(1)$ p$を素数とすると $ \phi(p^n)=p^n-p^{n-1}$
(2)$ n,m$を互いに素な自然数とすると $ \phi(nm)=\phi(n)\phi(m)$

証明
(1)1から$ p^n$までの自然数のうち$ p^n$と互いに素なものは、1から$ p^n$までの自然数で素因数に$ p$を含まないもの。 1から$ p$までの自然数で素因数に$ p$を含むものは、 $ p,2p,3p,\cdots,p^{n-1}p$$ p^{n-1}$個ある。したがって、 $ \phi(p^n)=p^n-p^{n-1}$
(2)の証明は、後に、中国剰余定理を用いて行います。

(2)は互いに素な数に対して積が保存しており、このような性質を乗法的であるといいます。

Remark 2.3.13
$ \phi (n)$は、 $ \mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$のうち$ n$と互いに素なものの個数ですので、 $ \mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$の乗法群 $ (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times$の元の個数と一致します。
一方、中国剰余定理より、$ n,m$が互いに素なとき $ \mathbb{Z}/nm\mathbb{Z}\cong (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})\times(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})$ですのでこれらの乗法群を考えると、 $ (\mathbb{Z}/nm\mathbb{Z}\cong)^\times\cong (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times\times(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})\times$であり、 $ \phi(nm)=\phi(n)\phi(m)$が分かります。

Takashi
平成24年5月27日