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3.2.3 環の準同型
3
.
2
.
4
ガウス整数
を虚数単位(つまり、
となる数のうちの一方)としたとき、整数
に対し
を
ガウス整数(Gaussian integer)
といます。ガウス整数全体からなる集合を
と記載します。つまり、
命題
3
.
2
.
16
は、環となる。
を
ガウス整数環
という。
ガウス整数はの最も簡単な例です。
ガウス整数
から0以上の整数
への関数
を
で定義すると、
は複素平面における原点
とガウス整数
との距離を意味しています。このことから、2つのガウス整数を
とおくと、
となることが分かります。
をガウス整数の
ノルム(norm)
といいます。ノルムは代数的数に対し定義される、整数論において重要な関すです。ここでは、ノルムを使ってガウス整数の可逆元を調べてみましょう。
命題
3
.
2
.
17
ガウス整数の可逆元は
のみであり、つまり
であり、
である。
証明
ガウス整数
が可逆元であるとすると、
となるガウス整数
が存在する。両辺のノルムをとると
となりますが、
は0以上の整数であることより、
と分かる。つまり、
とすると、
であるが、
より、
と分かる。よって、
である。
また、
,
,
であることより、
は
を生成元とする位数4の巡回群であることが分かり、したがって、
である。
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Takashi
平成24年5月27日