2.2.5 最大公約式の生成

$ \mathrm{K}=\mathbb{Q},\mathbb{R},\mathbb{C}$とします。(一般的には $ \mathrm{K}$が体であれば成立します。) $ \mathrm{K}$係数多項式においても、除法の原理が成り立ちますので、それにより、最大公約式をユークリッドの互除法により求めることができます。(前講参照参照)これにより、整数の場合と同様に、多項式の世界でも最大公約式を生成することができます。

定理 2.2.16 (最大公約式の生成定理)
以下、多項式とは $ \mathrm{K}[\mathrm{X}]$の元とする。
(1) 多項式 $ f(\mathrm{X}),g(\mathrm{X})$の最大公約式(の1つ)を $ d(\mathrm{X})$とすると、 $ a(\mathrm{X})f(\mathrm{X})+b(\mathrm{X})g(\mathrm{X})=d(\mathrm{X})$となるような多項式 $ a(\mathrm{X}),b(\mathrm{X})$が存在する。
(2) $ A$ $ f(\mathrm{X})$の倍数多項式全体の集合、$ B$ $ g(\mathrm{X})$の倍数多項式全体の集合とするとき、$ A+B$は、 $ d(\mathrm{X})$の倍数多項式全体の集合となる。
(3) $ f(\mathrm{X}),g(\mathrm{X})$が互いに素  $ \Longleftrightarrow$ $ a(\mathrm{X})f(\mathrm{X})+b(\mathrm{X})g(\mathrm{X})=1$となるような多項式 $ a(\mathrm{X}),b(\mathrm{X})$が存在する。

ここで、$ A+B$とは、 $ \{h_1(\mathrm{X})+h_2(\mathrm{X}) \vert h_1(\mathrm{X})\in A,h_2(\mathrm{X})\in B \}$を意味しています。

証明
(1)ユークリッドの互除法により最大公約式を求めることができますが、ユークリッドの互除法によって、出現する$ (f_1,g_1)$ $ a(\mathrm{X})f(\mathrm{X})+b(\mathrm{X})g(\mathrm{X})$の形である。したがって、 $ d(\mathrm{X})=a(\mathrm{X})f(\mathrm{X})+b(\mathrm{X})g(\mathrm{X})$とできる。
(2)(3)は、(1)より導ける。

Takashi
平成24年5月27日