2.2 多項式の因数分解

前節では、ユークリッドの互除法を学んだ後、その応用として素因数分解の一意性を証明しました。ユークリッドの互除法は理論的にも実用的にも重要な定理です。理論的には、最大公約数の生成定理を導くもの、実用的には最大公約数を求められることが重要です。

本節では前節と同じ事を、別の体系で行ってみます。それによって、別の体系でもユークリッドの互除法が成り立つこと、そしてユークリッドの互除法により素因数分解の一意性が証明できることが分かります。前節の性質は整数だけでなく、より一般的な体系の特別な場合に過ぎないことが分かります。整数の場合と全く同様に、多項式においても、最大公約数の定義ユークリッドの互除法最大公約数の生成定理ユークリッドの補題因数分解の一意性と整数の場合と同様の過程をたどることにより、因数分解の一意性が証明できます。

数学は、ある体系で成り立つ法則を別の体系に一般化することにより発展したといっても過言でありません。整数の世界で成立したことが多項式の世界でも成立していることをみることが本節の最大の目的です。



Takashi
平成24年5月27日