2.3.2 1のn乗根

$ \mathrm {X}^n-1$の因数分解を考えるまえに $ \mathrm{X}^n-1=0$ の解について考えてみましょう。

命題2.3.2より $ \mathrm{X}^n-1=(\mathrm{X}-1)(\mathrm{X}^{n-1}+\mathrm{X}^{n-2}+\cdots+\mathrm{X}+1)$ですのでの解の1つは1となります。 $ (\mathrm{X}^{n-1}+\mathrm{X}^{n-2}+\cdots+\mathrm{X}+1)=0$の解は、補題2.2.28より整数解の可能性があるのは$ \pm 1$に限りますが、$ \pm 1$は整数解ではありませんので、整数解はありません。(したがって、定理[*]より有理数解がないことが分かります。)

$ \mathrm{X}^n-1=0$の解を$ \alpha$とすると $ \alpha^n=1$ですので、$ n$乗して1になる数、つまり、1の$ n$乗根です。 $ \mathrm{X}^n-1=0$$ n$次式ですので複素数上解は$ n$個あります。

Remark 2.3.3
$ f(\mathrm{X})=\mathrm{X}^n-1$とおくと、 $ f'(\mathrm{X})=n\mathrm{X}^{n-1}$で、 $ f(\mathrm{X})$ $ f'(\mathrm{X})$との共通根はありませんので、 $ f(\mathrm{X})$は重解を持たないことが分かります。したがって、 $ \mathrm{X}^n-1=0$の解は複素数上、$ n$個あることが分かります。

$ n$が小さいときに、1の$ n$乗根を具体的に求めてみましょう。

Takashi
平成24年5月27日