いよいよ素因数分解の一意性を証明します。経験上明らかな素因数分解もきちんと証明するには、最大公約数の定義→ユークリッドの互除法→最大公約数の生成定理→ユークリッドの補題といくつかの経過をたどる必要があります。また、このような経過をたどることにより、将来、整数の範囲を拡張し素因数分解の一意性を証明する際に生きてきます。
素因数分解が一意的であることを前提とすれば、この定理はその特殊な場合です。しかし、素因数分解の一意性はこの時点では証明できていません。ここでは定理2.1.17を用いて証明します。つまり、ユークリッドの補題は素因数分解の一意性よりも基本的なものだといえます。
本講のメインテーマである素因数分解の一意性を示しましょう。を自然数とすると、
は素因数分解でき、その方法は1通りであることは経験的に知っていると思います。このことを厳密に証明しましょう。
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
つまり、「素数の積として、積の順番の違いを除いてただ一通りに表すことができる」ことを意味します。
を2以上の自然数とする。
のとき、2は素数であるため素因数分解可能でありその方法は一意的です。そこで、
以下の自然数(ただし2以上)は全て素因数分解可能であり、その分解は一意的であると仮定します。
が素数の場合、それ自身が素因数分解可能です。
が素数でない場合、
以外に約数があるため、その約数を
と分解でき、
です。このとき、帰納法の仮定から、
が素因数分解できますので、
も素因数分解できます。以上より、2以上の自然数が素因数分解可能であることが示されました。
ついで、素因数分解の一意性を示します。ここで、これまでの知識を使います。
が2つの方法で素因数分解できるたとする。つまり
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
Takashi