定義 3.1.21
を演算
が定義されているとき、
の部分集合
の元に対しても同じ
と同じ演算により群をなすとき、
を
の
部分群(subgroup)であるという。
部分群にはと同じ演算が定義されているため、の単位元は、の単位元と一致します。また、の元の逆元もをの元と考えたときの逆元と一致します。また、群の定義のうち結合法則はにおいて成立しているため、その部分集合であるでも当然に成立しています。したがって、の部分集合が部分群であることを示すためには群の成立条件のうちの一部を示せばよいことになります。次の命題は部分群であることを判定するうえで有用です。
命題 3.1.22
群
の部分集合
に対し、次の条件を満たすとき、
は
の部分群になる。
(1)任意の
に対し
(2)任意の
に対し
証明
(1)の条件より
は演算により閉じている。(条件0)
の部分集合であるため、結合法則は成立している。(条件1)
(1)の条件と(2)の条件をあわせると、
が分かり単位元が存在する。(条件2)
(2)の条件より逆元も存在する。(条件3)
よって、
は
の演算で群となることが分かったため、
が
の部分群であることが証明できた。
上の命題の(1)(2)をあわせると、任意の
に対し
である場合、が部分群であることが分かります。
また、上の命題の条件(1)(2)はが加法群の場合は、(1)任意の
に対し
、(2)任意のに対しとなります。なお、がアーベル群であるとき、その部分群も当然にアーベル群です。
例 3.1.23
単位元のみからなる部分集合
及び
自身は
の部分群になります。(これは、自然数
の約数に必ず1と
が含まれることに似ています。)
群の部分群がどの程度あるかを知るのは一般的には困難ですが、有限群のときは様々な定理があります。
の元に対しの部分集合
を考えるとはの部分群となります。この部分群をから生成される部分群といい、
と記載します。の位数が有限であるとき、
の群としての位数と一致します。
なお、が巡回群であるとは、
と表されることに他なりません。
が群の部分群であるとき、
も部分群となります。
例 3.1.24
を加法群と考えます。自然数
に対し、
は
の倍数(負の数も含む)からなる
の部分群となります。
により、加法群
の部分群はこの形に限られます。
自然数
に対し、
。ここで、
は、
の最大公約数である。
命題 3.1.25
加法群
の部分群は、ある自然数
が存在し
と書ける。
証明
を
の部分群とする。すると
の場合、
には正の数が存在する。正の数で最小のものを
とすると、
は
に含まれる。
Takashi
平成24年5月27日